住宅資金特別条項【ペアローン等共有事案における一考察】

 ペアローンとは、同居する夫婦や親子が、共有する住宅の持分に従って、それぞれがお互いに住宅ローンを組み、共有不動産の全体にそれぞれを債務者とする抵当権を設定するローンのことです。この場合の対応などについては、様々な文献に記載があります(例えば、「個人再生の手引」判例タイムズ社384頁)。

 住宅資金特別条項は、文言上形式的には「住宅資金貸付債権」が対象になると考えられますが、実際の実務においては、金融機関側(すなわち、債務者ではなく住宅資金を貸す側)の都合により、技術的に様々な方策が取られています。そこで実際の実務においては、純粋な意味で「住宅資金貸付債権」とはいえなくても、住宅ローンと実質的に取り扱って良いという場合には、住宅資金特別条項を定めることができるようにある程度解釈によって弾力的に運用されています。

 その結果、お互いが住宅資金を金融機関から借りている場合(これが純粋なペアローンの場合と解されます)に、お互いが、それぞれの住宅資金貸付債権に対し連帯保証人になっているケースがありますが、この連帯保証債務(保証債務履行請求権)についても住宅資金特別条項を認める運用がされています。そして、さらに、この場合は、例えば、妻には住宅ローン以外に特に負債がない場合など、夫単独での申立ても可能となっています(前掲書390頁)。

 さて、近時の問題は、さらに進んで、お互いが住宅資金を金融機関から借りており、その債務をお互いが直接連帯保証するのではなく、保証会社が保証をし、その保証会社の求償権について、お互いに連帯保証をしているケースがあります(前掲書391頁)。このケースに対する裁判所の対応については、同書は、はっきり明記していません。

 しかし、やはりこのようなケースであっても住宅資金特別条項を適用しなければ、「再生債務者が住宅を手放すことなく経済生活の再生を図る」という目的のために創設された同規定の意味が失われてしまいます。何よりも、このようなスキームは債務者の都合によって行われたのではなく、住宅資金を貸す側(金融機関側)の都合で行われたものであり、貸す側の都合で(貸す際のスキームの在り方)によって、住宅資金特別条項が利用できたり、出来なくなったりすれとすれば『脱法行為』を誘発しかねないと思われます。

 そこで、実際問題として裁判所の対応ですが、私の扱ったケースでは上記の場合(すなわち、保証会社に対する求償債権の連帯保証債務をお互いがしている場合)においても、住宅資金特別条項の適用が認められました。また、保証会社の方聞いたところ、同じように認められたケースが複数あると聞きました。ちなみに、本件は配偶者一方からの単独申立てのケースです。

 このようなケースについても住宅資金特別条項の適用を諦めることなくチャレンジするべきであると思った事案でした。

 

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