教育や学問の意味について(雑感)

教育や学問の意味について(雑感)

 だいぶ前のことですが、新聞の対談記事で、ある芸人さんが、某理論物理学者の先生に対し、「理論物理は社会にどのような意味があるのでしょうか」というような趣旨の質問をしていました。
 それに対して、くだんの先生は「新しい考え方が、社会を根底から変えることがある」という趣旨の回答をしていたと記憶しています。
 確かに、物理学や天文学が社会における人々の世界観や哲学に大きな影響を与えてきたことはよく言われることだと思います。話は少し逸れますが、最近では、量子力学がミクロの世界で示す「常識では説明できない状況」について、いろいろな議論がされているようです(その不思議な状況の「解釈」に争いはあっても不思議な状況自体は争いがないようです)。専門外の私が素人的に発想すると、「ミクロの世界で不思議なことが起きているなら、マクロの世界でも当然に起きていると考えるのが素直ではないのか」と思ってしまうのですが、それはともかく、人間を含めた物理世界の成り立ちについての根本の考えに大きな変化が生じれば、物理世界の一部を構成している人間社会に大きな変革が生じることは明らかだと思います。それも「政治」のような上からの改革ではなく、いわば社会そのものを支える一人ひとりの考え方の根本が変わるので(下からの変革とでもいうべきものかもしれません)、社会に対する影響は極めて劇的なものになるのではないかと推測しています。その意味で、物理学者の先生が、現在の物理学の到達点をもっと社会的に発信しても良いのではないか、と常々思っているのですが、それは私が物理の素人だからでしょうか。例えば、主観と客観は分離できるのか、できないとすればいわゆる自然科学と社会科学は分離できないのではないか、証明するとはいかなる意味なのか等々、素人的には疑問は尽きないのです。


 話が少し本題から逸れてしまいました。
 私が、ここで言いたかったのは、学問というのは、本来、ただ「知りたい」という欲求から生じたものではないのか、教育というのは本来そのような人間の欲求を満たすためのシステムではなかったのか、ということです。

 それまで知らなかったことを知ることは、それ自体喜びだと思いますから。
 ただ、今の学校制度は、個人個人が知りたいことを教えるのではなく、「社会への準備行為」としての側面があまりにも、前面に出てきてしまっており、本来、学問が持っている未知のものを知ることに対する欲求や喜びを減退させているような気がしてなりません。
 先日、某テレビ番組をみていたら、高校生の生徒役の俳優さんが、教師役の俳優さんに対して、「なぜ、○○(たとえば物理とか、数学とか、英語とか)を学ぶ必要があるのか」というような問いかけをしていましたが、それに対する教師役の俳優さんの回答は、「現在の国際状況が英語を必要としている」とか、「良い大学に入り、良い会社に就職するためとか」などの「社会への準備行為」としての意義を説明していたように記憶しています。


 確かに、今の厳しい社会状況の中で「生存」していくことは大変なことだと思うので、なるべくうまく生きていけるように、「社会への準備行為」としての教育や学問の意味説くことも重要かもしれません。
 しかし、社会は常に変化していくものですし、社会で通用する考え方(いわゆる常識)も変化していきます。今まで体に良いなどと言われていた物質が、ある日、突然、悪いものと180度変化して(その逆もあります)、愕然とした思いをしたことは、誰でも1度や2度はあるのではないでしょうか。その意味で、学校で教育し、目指そうとしている社会がそれほど確固たるものではないことは知っておくべきことだと思います。
 「社会への準備行為」としての詰め込み型の教育が、前記の生徒役の質問に繋がっているのではないかと思いますが、単純に授業時間を減らすという形の「ゆとり」ではなくて、学問が本来持っている知的好奇心をくすぐるような面白さを教えるような形の教育があっても良いのではないか、と思っています。


 人は自分の考えが唯一正しいと考えがちですが、誰かの考えや、ある種の宗教観、世界観、哲学がはじめから唯一絶対に正しいという考えを一旦脇に置いて(それらは常に変化してきたという人類の経験からしても)、いろいろな考え方に触れながらも、自分自身で、体験を重ね、ひとつひとつ自分の考え方を確立していくような教育があっても良いのではないか、「学問って面白い」と思えるようなやり方があっても良いのではないか、そんなことを思った次第です。

 

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